夜でもコーヒーを飲みたいけれど、カフェインは少し控えたい。そんなときに気になるのがデカフェです。そして一歩踏み込んで「デカフェってどうやって作っているの?」「家でも作れるの?」と調べている方も多いのではないでしょうか。作り方を知ると、売り場で見かける「カフェインレス」という表示の意味や、デカフェの味がどこで変わるのかまで、ぐっと見通しがよくなります。
先に結論をお伝えします。デカフェのカフェイン除去は、ほとんどが焙煎する前の「生豆(なままめ)」の段階で行われています。全日本コーヒー協会は代表的な方法として、生豆を水に浸してカフェインを取り除く「水抽出法」と、二酸化炭素を使う「超臨界二酸化炭素抽出法」を紹介しています。一方で、焙煎済みの豆や粉から家庭でカフェインを抜く方法は、公的機関や業界団体の資料では確認できませんでした。
この記事では、デカフェの定義と表示のライン、2つの製法の仕組みと味への影響、1杯に残るカフェインの量、家庭で再現できるのかという疑問、そしてデカフェを選ぶ・淹れるときに見るところまで、一次情報をもとに順番に整理していきます。
・デカフェの定義と「カフェイン90%以上除去」という表示のライン
・生豆の段階で行う水抽出法と超臨界二酸化炭素抽出法の違い
・製法によって香りや味がどう変わるのか、1杯にどれくらいカフェインが残るのか
・家庭でデカフェを作れるのかという疑問と、選び方・淹れ方で見るところ
デカフェ作り方の出発点は「焙煎前の生豆」にある

そもそも「デカフェ」はどういう意味の言葉?
デカフェは「カフェインを取り除いたコーヒー」を指す言葉です。作り方の話に入る前に、まずこの言葉の意味を押さえておくと、この後の説明がすっと入ってきます。
全日本コーヒー協会のコラムによると、デカフェは英語の「デカフェネイテッド」を略した言葉で、カフェインを取り除いたという意味を持ちます。同じコラムでは、デカフェは「カフェインレスとも言われます」と説明されています(全日本コーヒー協会「デカフェコーヒー」コラム)。つまり「デカフェ」と「カフェインレス」は、呼び方が違うだけで同じものを指していると考えてよい、ということですね。
やりがちなのが、「デカフェ」「カフェインレス」という言葉から、カフェインがまったく入っていない飲み物だと思い込んでしまうことです。言葉の意味はあくまで「取り除いた」であり、「最初から含まない」ではありません。この違いが、後で説明する「どれくらい残るのか」という話につながります。
コツとしては、パッケージで「デカフェ」「カフェインレス」の文字を見つけたら、その近くにカフェインの除去率が書かれていないかを探すことです。言葉だけで判断せず、数字の表記まで目を通す習慣をつけると、商品ごとの違いが見えてきます。
「カフェイン90%以上除去」が日本での目安ライン
日本でデカフェと呼ばれるコーヒーは、カフェインを90%以上取り除いたものが目安になっています。これは協会や表示のルールで示されている基準です。
全日本コーヒー協会のコラムでは、全日本コーヒー公正取引協議会がデカフェコーヒーを「カフェインを90%以上除去したコーヒー」としていると紹介されています(全日本コーヒー協会)。また、全日本コーヒー公正取引協議会が公開している「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約」の施行規則(第3条(4)イ)には、「カフェインを 90 パーセント以上除去した」コーヒーにあっては「カフェインレスコーヒー」「デカフェネィテッドコーヒー」等と表示する、と定められています(全日本コーヒー公正取引協議会 規約資料(PDF))。
この「90%」という数字は、どの製法で作っても共通の物差しになります。水で抜いても二酸化炭素で抜いても、表示の目安は除去率で決まる、というわけです。逆にいえば、製法の名前だけを見て「これはしっかり抜けている」「これは抜け方が弱い」と判断することはできません。
買うときの注意点として、除去率の数字が見当たらない場合は、販売元の説明を確認してから選ぶと安心です。
デカフェは「カフェインゼロ」ではないと覚えておく
デカフェにはわずかにカフェインが残っています。90%以上を取り除くということは、残りの部分はゼロとは限らないということです。
全日本コーヒー協会のコラムでは、「通常のコーヒーには、100ml当たり約60mgのカフェインが含まれているのに対し、デカフェコーヒーはわずか6mg未満。」と説明されています(全日本コーヒー協会)。60mgの90%を取り除くと残りは6mgになるので、「6mg未満」という数字は90%以上除去という基準と計算の上でもつながっています。さらに別のQ&Aでは、「カフェインを97%以上除去したカフェインレスのコーヒー豆やインスタントコーヒーも市販されています」とも紹介されています(全日本コーヒー協会 Q&A)。
ここでよくある失敗が、「デカフェだからカフェインは気にしなくていい」と考えて、普段のコーヒー以上に何杯も重ねて飲んでしまうことです。原因は、デカフェをカフェインゼロの飲み物だと思い込んでいること。1杯あたりはわずかでも、杯数が増えればその分だけ量は積み上がります。
対策はシンプルで、「普通のコーヒーより大きく減らしたもの」と捉えることです。カフェインをどれだけ控えたいかがはっきりしている方は、除去率の数字が書かれた商品を選ぶと、量の見当をつけやすくなります。
デカフェ=英語の「デカフェネイテッド」の略で、カフェインを取り除いたという意味。カフェインレスとも呼ばれます。全日本コーヒー協会のコラムでは、全日本コーヒー公正取引協議会がデカフェコーヒーをカフェインを90%以上除去したコーヒーとしていると紹介されています。カフェインがゼロになるわけではない点に注意しましょう。
カフェインを抜くのは焙煎前の「生豆」の段階
デカフェ作りの舞台は、私たちが目にする茶色い焙煎豆ではなく、その前の生豆です。ここが「デカフェの作り方」を理解するうえで一番大切なポイントになります。
全日本コーヒー協会は、「カフェインレスコーヒーの製造方法はいくつかありますが」と前置きしたうえで、そのほとんどは焙煎前の生豆と呼ばれる段階でカフェインを除去していると説明しています(全日本コーヒー協会「カフェインレスコーヒーを知る」)。つまり、売り場に並んでいるデカフェの焙煎豆や粉は、カフェインを取り除いた生豆をあとから焙煎したもの、という順番で作られているわけです。
この順番を知らないと、「焙煎したあとの豆からカフェインを抜いているのだろう」「深く焙煎すればカフェインが飛ぶのでは」といった誤解をしがちです。デカフェかどうかは焙煎よりも前の工程で決まっている、と覚えておくと、焙煎度とデカフェを分けて考えられるようになります。
生豆がどんな状態のものなのか、精製方法によってどう違うのかを知っておくと、デカフェの工程のイメージもつかみやすくなります。

生豆を水に浸してカフェインを抜く「水抽出法」はどう進む?
水抽出法は「浸して溶かし出す」がスタート
水抽出法は、生豆を水に浸してカフェインを溶かし出すところから始まる製法です。仕組みとしては、とても身近な「水に溶ける成分を水で引き出す」という考え方がベースになっています。
全日本コーヒー協会は水抽出法について、「一般的な製法で、コーヒーの生豆を水に浸し、溶け出たカフェインを特殊フィルターなどで除去する方法です。」と説明しています(全日本コーヒー協会)。協会が「一般的な製法」と書いている点からも、デカフェ作りの代表的な方法のひとつだとわかります。
ここで押さえておきたいのは、浸しているのが焙煎前の生豆だということです。焙煎した豆を湯に浸すのは「コーヒーを淹れる」ことそのものですが、水抽出法はその前の段階で、カフェインを取り除く目的で豆を水に浸します。同じ「水に浸す」でも、目的と対象がまったく違うのですね。
注意点として、協会のページには処理にかける時間や水温といった工程の細かな条件は書かれていません。製法の名前が同じでも、具体的な条件は製造する側によって異なる可能性があるため、本記事では協会が説明している流れの範囲にとどめています。
溶け出たカフェインは「特殊フィルターなど」で取り除く
水に溶け出したカフェインは、そのままにしておくのではなく、特殊なフィルターなどを使って取り除かれます。ここが水抽出法の「除去」の部分です。
先ほどの協会の説明にあるとおり、水抽出法では溶け出たカフェインを「特殊フィルターなど」で除去します(全日本コーヒー協会)。つまり、豆を水に浸すだけで終わりではなく、溶け出た成分の中からカフェインを分けて取り除く工程があるということです。家庭の台所にはない専用の設備を使う、工場ならではの工程だと言えます。
この部分を読み飛ばすと、「水に浸せばカフェインが抜けるなら、家でも豆を水に浸せばいいのでは」と考えてしまいがちです。けれども協会の説明では、浸す工程と取り除く工程がセットになっています。浸す工程だけを真似しても、同じ結果になるとは言えません。
コツとしては、デカフェを選ぶ際に「水抽出」「ウォータープロセス」などの記載があれば、この浸して取り除く方法で作られたものだと読み取れます。製法の記載はパッケージや販売元の説明に載っていることがあるので、気になる方は確認してみましょう。
弱点は「香りや味の成分も抜けがち」なこと
水抽出法には、カフェインと一緒に香りや味の成分も抜けやすいという弱点があります。デカフェの味について語られるとき、この点がよく話題になります。
全日本コーヒー協会は水抽出法の説明に続けて、「ただし、香りや味成分も抜けがちになります。」と注意を添えています(全日本コーヒー協会)。水に溶けて出ていくのはカフェインだけではなく、コーヒーの風味のもとになる成分も一緒に水へ移ってしまいやすい、ということですね。
家で飲んでいて「デカフェはなんとなく香りが控えめ」と感じたことがある方は、製法による影響も理由のひとつとして考えられます。ただし、味の感じ方には焙煎度や鮮度、淹れ方も関わるため、香りが控えめに感じた原因を製法だけに決めつけるのは早計です。
注意点として、協会の説明は「抜けがち」という傾向を示したもので、どれくらい抜けるかという数値は示されていません。水抽出法のデカフェがすべて香りが乏しいということではないので、製法はあくまで選ぶときの手がかりのひとつとして見てください。
水抽出法のデカフェを選ぶときに見るところ
水抽出法で作られたデカフェを選ぶときは、製法よりも先に「除去率」と「焙煎度」を見るのがおすすめです。製法は工程の話、除去率と焙煎度は飲んだときの実感に直結する話だからです。
前の章で見たように、デカフェの目安はカフェインを90%以上除去していること、という共通の物差しがあります(全日本コーヒー協会)。水抽出法かどうかにかかわらず、この物差しで比べられるのは安心材料です。そのうえで、焙煎度の表示を見れば、味の方向性の見当がつけやすくなります。
やりがちなのが、製法の名前だけを見て「水抽出法は味が落ちるから選ばない」と最初から外してしまうことです。協会も近年は技術の向上で味が改善されていると紹介しており、製法だけで切り捨てるのはもったいない選び方だと言えます。
コツは、まず普段飲んでいる焙煎度に近いデカフェから試すことです。普段の好みに近い条件で比べると、「デカフェだから違う」のか「焙煎度が違うから違う」のかを切り分けやすくなります。
二酸化炭素でカフェインだけを狙う方法とは?

超臨界二酸化炭素抽出法は「二酸化炭素」でカフェインを抜く
もうひとつの代表的な製法が、二酸化炭素を使ってカフェインを取り除く「超臨界二酸化炭素抽出法」です。水の代わりに二酸化炭素を使うところが、水抽出法との大きな違いです。
全日本コーヒー協会はこの方法について、「二酸化炭素を使用して、カフェインを除去します。」と説明しています(全日本コーヒー協会「カフェインレスコーヒーを知る」)。水抽出法と同じく、焙煎前の生豆の段階で行われる除去の方法として紹介されています。
「二酸化炭素」と聞くと、炭酸飲料の泡や呼吸で出る気体を思い浮かべる方も多いでしょう。名前についている「超臨界」は、二酸化炭素を特別な状態にして使うことを表す専門用語です。ただし、その状態をつくるための温度や圧力などの条件は協会のページでは扱われていないため、この記事でも数値には踏み込みません。
注意点として、家庭でイメージする炭酸水などとは別物の、工業的な設備を使う製法だということは押さえておきましょう。名前の響きから「家でも二酸化炭素で抜けそう」と考えるのは誤解のもとです。
「カフェインだけを狙う」とはどういうことか
超臨界二酸化炭素抽出法の特徴は、カフェインを狙って取り除き、香りや味の成分を逃しにくいとされている点です。ここが水抽出法との一番の違いとして紹介されています。
全日本コーヒー協会は、この方法について「豆に負担をかけずにカフェインだけを狙って取り除くため、おいしさはそのまま。」と説明しています(全日本コーヒー協会)。水抽出法では香りや味の成分も抜けがちだと説明されていたのに対し、こちらはカフェインに絞って取り除くという考え方なのですね。
ここで誤解しやすいのが、「おいしさはそのまま」という表現を「普通のコーヒーとまったく同じ味」と受け取ってしまうことです。協会の説明は製法の狙いと特徴を示したもので、どの商品も通常のコーヒーと区別がつかないと保証しているわけではありません。豆の産地や焙煎度、鮮度によっても味は変わります。
コツとしては、香りを大切にしたい方は、パッケージや販売元の説明に「二酸化炭素」「CO2」などの記載があるかを確認してみることです。そのうえで、普段の好みに近い焙煎度を選ぶと、製法の特徴を感じ取りやすくなります。
全日本コーヒー協会の説明では、水抽出法は生豆を水に浸し、溶け出たカフェインを特殊フィルターなどで除去する一般的な製法で、香りや味成分も抜けがちになる方法、超臨界二酸化炭素抽出法は二酸化炭素を使ってカフェインだけを狙って取り除き、香りや味の成分を逃しにくい方法とされています。どちらも焙煎前の生豆の段階で行われ、デカフェの目安はカフェイン90%以上の除去という共通の物差しで判断します。
製法の違いは「除去率」の違いではない
水抽出法と超臨界二酸化炭素抽出法の違いは、主に香りや味の成分の残り方として説明されています。「どちらがカフェインをたくさん抜けるか」という比較ではない点に注意しましょう。
デカフェの目安は、全日本コーヒー協会が紹介するとおりカフェインを90%以上除去したもので、これは製法を問わない基準です(全日本コーヒー協会)。協会のカフェインレスコーヒーのページでは、製法ごとの除去率の数値は示されていません。つまり、製法の名前から除去率の高低を読み取ることはできないのです。
やりがちな誤解は、「二酸化炭素のほうが新しい技術っぽいから、カフェインもよく抜けているはず」と思い込むことです。協会が二酸化炭素の方法について強調しているのは、香りや味を逃しにくいという点であって、除去率の高さではありません。
カフェインの量を重視する方は、製法名ではなく、商品に書かれた除去率の数字を見るのが確実です。協会のQ&Aでも、97%以上除去したカフェインレスの商品が市販されていると紹介されており、数字の表記で比べるのがわかりやすい方法だと言えます。
ほかの製法については「いくつかある」と知っておく
デカフェの製法は、ここで紹介した2つだけではありません。協会自身も、製造方法は複数あると書いています。
全日本コーヒー協会のページは、「カフェインレスコーヒーの製造方法はいくつかありますが」という一文から始まり、その中から水抽出法と超臨界二酸化炭素抽出法を取り上げて説明しています(全日本コーヒー協会)。この記事では、協会が具体的に説明しているこの2つに絞って解説しています。
インターネット上では、ほかの製法について工程や薬品名、処理の条件などが詳しく書かれた記事を見かけることもあります。ただ、そうした情報の中には出所がはっきりしないものもあり、内容をそのまま信じてしまうと誤解につながることがあります。製法の細かな条件は、製造する側によっても異なる可能性があります。
気になる商品があるときは、その商品の販売元が公式に案内している製法の説明を確認するのが近道です。協会などの一次情報と、販売元が自社商品について説明している内容を照らし合わせて読むと、情報の確かさを判断しやすくなります。
製法で味はどう変わる?「香りが抜ける」と言われる理由
水抽出法は香りの成分も一緒に水へ移りやすい
デカフェの味の話で「香りが弱い」と言われることがあるのは、製法によっては香りや味の成分もカフェインと一緒に抜けやすいためです。特に水抽出法については、協会がはっきりその傾向を書いています。
全日本コーヒー協会は水抽出法について、生豆を水に浸してカフェインを除去する一般的な製法と紹介したうえで、「ただし、香りや味成分も抜けがちになります。」と説明しています(全日本コーヒー協会)。水に溶けるのはカフェインだけではない、という点がこの弱点の背景になっています。
家で淹れたデカフェが「なんだか物足りない」と感じたときに、すぐに「デカフェはこういうもの」とあきらめてしまう方もいるかもしれません。けれども、製法の違いや焙煎度、豆の鮮度によって印象は変わります。物足りなさの原因をひとつに決めつけず、いくつかの要素を順に見直すほうが、好みのデカフェに出会いやすくなります。
コツは、香りの強さを重視する方ほど、製法の表示に目を向けることです。製法がわかれば、「香りが控えめなのは製法の傾向かもしれない」と見当をつけられ、次に選ぶときの判断材料になります。
超臨界二酸化炭素抽出法は香りや味を逃しにくいとされる
香りや味を大切にしたい方にとって、超臨界二酸化炭素抽出法は気になる製法でしょう。協会は、この方法をカフェインだけを狙って取り除く方法として紹介しています。
全日本コーヒー協会の説明によると、この製法は「豆に負担をかけずにカフェインだけを狙って取り除くため、おいしさはそのまま。」とされています(全日本コーヒー協会)。水抽出法との違いは、カフェイン以外の成分をできるだけ残すという考え方にあると言えます。
ただし、香りの感じ方は製法だけで決まるわけではありません。豆の産地や品種、焙煎度、そして焙煎してからの日数や保存の仕方によっても変わります。超臨界二酸化炭素抽出法のデカフェを買っても、開封後に長く置いておけば香りは落ちていきます。
注意点として、製法の名前は商品によって表記が異なることがあります。「CO2」「二酸化炭素」などの表記を手がかりにしつつ、詳しくは販売元の説明を確認しましょう。製法の名前を見つけられない場合でも、除去率と焙煎度の表示があれば、選ぶうえでの手がかりは十分にあります。
| 項目 | 水抽出法 | 超臨界二酸化炭素抽出法 |
|---|---|---|
| 除去を行う段階 | 焙煎前の生豆 | 焙煎前の生豆 |
| 使うもの | 水と特殊フィルターなど | 二酸化炭素 |
| 除去の考え方 | 生豆を水に浸し、溶け出たカフェインを取り除く | カフェインだけを狙って取り除く |
| 香りや味への影響 | 香りや味成分も抜けがち | 豆に負担をかけず、おいしさを保つとされる |
| 協会の紹介 | 一般的な製法 | 香りや味を逃しにくい方法 |
実は「デカフェ=味が物足りない」は少し前のイメージかもしれない
意外と知られていないのですが、「デカフェはおいしくない」というイメージは、今では見直されつつあります。協会も、技術の向上によって味が改善されてきたことを紹介しています。
全日本コーヒー協会のコラムでは、「近年ではカフェインを取り除く技術が向上し、味も改善され取り入れやすくなっています。」と説明されています(全日本コーヒー協会)。さらに同じコラムでは、「近年、国内におけるデカフェコーヒーの輸入量は増加傾向にあります。」とも書かれています。飲む人が増えている背景には、こうした味の改善もあるのかもしれません。
以前にデカフェを飲んで「物足りない」と感じ、それ以来試していないという方は少なくないでしょう。そのときの印象だけで判断していると、今のデカフェの選択肢を見逃してしまうことになります。製法や焙煎度の違う商品を選び直すだけで、印象が変わる可能性があります。
協会のコラムでは、デカフェが就寝前でも飲みやすいことや、妊娠中・授乳中の方などカフェインの摂取を減らしたい方の選択肢になることも紹介されています。コーヒーは好きだけれどカフェインは控えたい、という方にとって、デカフェはもう一度試してみる価値のある選択肢だと言えるでしょう。
味の違いを感じたら、焙煎度も一緒に見直す
デカフェの味に違和感があるときは、製法だけでなく焙煎度もあわせて見直すのがコツです。カフェインを抜くのは焙煎の前なので、その後の焙煎で味の方向性は大きく変わります。
前の章で見たとおり、デカフェのカフェイン除去はほとんどが焙煎前の生豆の段階で行われています(全日本コーヒー協会)。つまり、カフェインを取り除いた生豆も、普通の生豆と同じように焙煎を経て私たちの手元に届きます。酸味や苦味の出方は、焙煎度による影響も受けるのです。
やりがちなのが、普段は深煎りを飲んでいる方が浅煎りのデカフェを買い、「デカフェは酸っぱい」と感じてしまうケースです。この場合、違和感の原因はデカフェかどうかより、焙煎度の違いにある可能性があります。逆のパターンも同様に起こります。
焙煎度によって酸味や苦味がどう変わるのかを知っておくと、デカフェ選びでも好みの方向性を見つけやすくなります。焙煎度と味の関係は、こちらの記事で詳しく解説しています。

家庭のキッチンでデカフェ作り方は再現できる?
焙煎済みの豆からカフェインを抜く方法は確認できない
結論からいうと、家庭で焙煎済みの豆や粉からカフェインを抜く方法は、公的機関や業界団体の資料では確認できませんでした。そのため、この記事では「家でデカフェを作れる」とはお伝えしません。
全日本コーヒー協会が説明しているデカフェの製法は、焙煎前の生豆を対象にしたものです(全日本コーヒー協会)。水抽出法では特殊フィルターなどでカフェインを除去し、超臨界二酸化炭素抽出法では二酸化炭素を使います。どちらも家庭の台所にある道具で再現することを前提にした説明ではありません。
家庭で手に入るのは、たいていすでに焙煎された豆や粉です。協会の説明している工程は焙煎の前に行うものなので、焙煎済みの豆を使って同じ順番をたどることはそもそもできません。ここが「家で作れるのか」という疑問に対する、一番シンプルな答えになります。
インターネット上には家でカフェインを減らす方法として、さまざまなやり方が紹介されていることがあります。ただ、どれだけカフェインが減るのかを公的な資料で確かめられないものは、ここでは取り上げません。カフェインの量が気になる方ほど、除去率が表示された市販のデカフェを選ぶほうが確実です。
やりがちな失敗:豆や粉をお湯で洗ってカフェインを抜こうとする
家でデカフェを作ろうとして起こりがちなのが、豆や粉をお湯や水で洗ったり、一度捨て湯をしたりして「カフェインを抜いたつもり」になってしまう失敗です。
原因は、水抽出法の「生豆を水に浸してカフェインを溶かし出す」という説明の一部だけを、焙煎済みの豆に当てはめてしまうことにあります。全日本コーヒー協会の説明では、水抽出法は焙煎前の生豆を対象にしたもので、溶け出たカフェインを特殊フィルターなどで除去する工程とセットになっています(全日本コーヒー協会)。しかも、生豆の段階で行う水抽出法でさえ、香りや味成分も抜けがちだと説明されています。
家庭で同じようなことをしても、どれだけカフェインが減ったのかを確かめる手段がありません。カフェインが思ったほど減っていないのに「抜けたはず」と安心して飲む量が増えてしまったり、香りや味だけが損なわれてしまったりするおそれがあります。
対策は、カフェインを控えたいときは、家で手を加えるのではなく、最初から除去率が表示されたデカフェを選ぶことです。数字がわかっていれば、どれくらい控えられているのかの見当もつけやすくなります。
焙煎済みの豆や粉をお湯で洗う、捨て湯をするなどして「カフェインを抜いたつもり」になるのは避けましょう。全日本コーヒー協会が説明するデカフェの製法は、焙煎前の生豆を対象に、特殊フィルターや二酸化炭素など専用の方法でカフェインを除去するものです。家庭ではカフェインがどれだけ減ったかを確かめられず、香りや味だけが損なわれるおそれもあります。カフェインを控えたいときは、除去率の表示があるデカフェを選ぶのが確実です。
家でできるのは「選ぶ」ことから始めること
家庭でデカフェを楽しむための現実的な方法は、作るのではなく選ぶことです。デカフェの品質を左右する工程は焙煎前に終わっているので、私たちにできるのは、表示を読んで自分に合うものを選ぶことになります。
全日本コーヒー協会のQ&Aでは、「カフェインを97%以上除去したカフェインレスのコーヒー豆やインスタントコーヒーも市販されています」と紹介されています(全日本コーヒー協会 Q&A)。豆だけでなくインスタントの選択肢もあるので、普段の飲み方に合わせて選べます。
選ぶときにやりがちなのが、「デカフェ」の文字だけを見て、焙煎度や形状(豆か粉か、インスタントか)を確認しないまま買ってしまうことです。家にミルがないのに豆を買ってしまったり、普段と違う焙煎度で味に戸惑ったりすると、「デカフェは扱いにくい」という印象になりかねません。
コツは、「除去率」「焙煎度」「形状」の3つを、買う前に順番に確認することです。普段の飲み方と同じ形状、近い焙煎度を選べば、デカフェにしたことによる違いだけを感じ取りやすくなります。
カフェインを控えたい日は「量」で調整するという考え方
デカフェを買う以外に、家庭でできるカフェインの調整としては、飲む量そのものを見直すという考え方があります。これは作り方の工夫ではありませんが、確実に意味のある方法です。
食品安全委員会のファクトシートでは、コーヒーのカフェイン量は100mlあたりの数値として示されています(食品安全委員会「食品中のカフェイン」ファクトシート(PDF))。100mlあたりで示されているということは、飲む量が減ればそのぶんカフェインの量も比例して少なくなる、ということです。
やりがちなのが、マグカップなど大きめの器になみなみ注いで、「1杯だけだから」と考えてしまうことです。同じ「1杯」でも、器の大きさによって飲む量は違います。カフェインを控えたいときは、杯数だけでなく、器の大きさにも目を向けてみましょう。
注意点として、こうした量の調整は、あくまでカフェインの量を少なくするための目安の考え方です。体調や妊娠中のカフェインについては医師に相談を。そのうえで、日常の中で無理のない範囲の調整として取り入れてみてください。
1杯にカフェインはどれくらい残る?飲み物ごとに数字で比べる
通常のコーヒーは100mlあたり60mgが目安
デカフェのカフェイン量を考えるには、まず普通のコーヒーにどれくらい含まれているかを知っておく必要があります。公的機関の資料では、コーヒーは100mlあたり60mgとされています。
食品安全委員会のファクトシート「食品中のカフェイン」(作成日 平成23年3月31日)では、コーヒーのカフェイン量は60mg/100mlとされ、その浸出方法はコーヒー粉末10gを熱湯150mlで浸出したものと示されています(食品安全委員会(PDF))。農林水産省のページでも、コーヒー(浸出液)のカフェイン量が0.06 g/100 mL(=60 mg/100 mL、浸出法:コーヒー粉末10 g、熱湯150 mL)として紹介されています(農林水産省「カフェインの過剰摂取について」)。
文部科学省「日本食品標準成分表2010」の解説で、コーヒー(浸出液)の成分値の浸出条件は「ドリップ式で10 gの中びきレギュラーコーヒーを150 mLの熱湯で浸出したもの」と説明されています(文部科学省)。なお、成分表の成分値は可食部100gあたりで示されるため、100mlあたりの数値とは単位を分けて読む必要があります。
やりがちなのが、この数値をすべてのコーヒーにそのまま当てはめてしまうことです。浸出条件が示されているということは、粉の量や湯の量が違えば数値も変わりうるということです。あくまで、示された条件での目安として受け止めましょう。
デカフェは100mlあたり6mg未満とされる
デカフェのカフェイン量は、全日本コーヒー協会のコラムで100mlあたり6mg未満と紹介されています。通常のコーヒーと比べると、その差は大きなものです。
全日本コーヒー協会のコラムでは、「通常のコーヒーには、100ml当たり約60mgのカフェインが含まれているのに対し、デカフェコーヒーはわずか6mg未満。」と説明されています(全日本コーヒー協会)。60mgから90%以上を取り除くと残りは6mg以下になるので、「90%以上除去」という目安と数字の上でも合っています。
ここで注意したいのは、この数値の出典が食品安全委員会のファクトシートとは別だという点です。単位はどちらも100mlあたりですが、通常のコーヒーの60mg/100mlは食品安全委員会、デカフェの6mg未満は全日本コーヒー協会の説明として、出典を分けて読むのが正確です。
コツとしては、97%以上除去と表示された商品であれば、残るカフェインはさらに少なくなると考えられます。除去率の数字が高いほど、残るカフェインの見込みは小さくなるので、カフェインを控えたい度合いに合わせて除去率を見比べてみてください。
紅茶・せん茶・インスタントコーヒーと比べると?
デカフェのカフェイン量をほかの身近な飲み物と比べてみると、その位置づけがよりはっきりします。公的機関と協会の資料から、100mlあたりの数値を一覧にしました。
食品安全委員会のファクトシートでは、コーヒー以外にも、インスタントコーヒー、紅茶、せん茶のカフェイン量がそれぞれの浸出条件とともに示されています(食品安全委員会(PDF))。これにデカフェの数値(全日本コーヒー協会)を並べると、次のようになります。
| 飲み物 | カフェイン量(100mlあたり) | 浸出条件・備考 |
|---|---|---|
| コーヒー | 60mg | コーヒー粉末10g/熱湯150ml(食品安全委員会) |
| インスタントコーヒー | 57mg | インスタントコーヒー2g/熱湯140ml(食品安全委員会) |
| 紅茶 | 30mg | 茶5g/熱湯360ml、1.5〜4分(食品安全委員会) |
| せん茶 | 20mg | 茶10g/90℃の湯430ml、1分(食品安全委員会) |
| デカフェコーヒー | 6mg未満 | 全日本コーヒー協会コラムの説明(出典が上の4つと異なる) |
こうして並べると、デカフェのカフェイン量は、紅茶やせん茶と比べても少ない数値として紹介されていることがわかります。ただし、それぞれ浸出条件が異なり、デカフェの数値は出典も異なるため、厳密に同じ条件で比べたものではありません。表はあくまで、おおまかな位置づけをつかむための目安として使ってください。
摂取量の目安は、機関名と対象者をそのまま読む
カフェインの摂取量の目安について、日本では食品安全委員会が独自の評価を行っていないため、海外機関の目安が紹介されています。数値を読むときは、どの機関が誰を対象に示した目安なのかを必ず確認しましょう。
食品安全委員会のファクトシートには、「これまで、日本人の摂取状況に基づいた、カフェインが天然に含まれている食品からのカフェインの摂取についての食品健康影響評価は実施していません。」と書かれています(食品安全委員会(PDF))。
農林水産省のページでは海外機関の目安が紹介されており、米国食品医薬品局について「米国食品医薬品局(FDA)は、健康な大人では、1日当たり400 mg(コーヒーでは12液量オンス2~3杯※)までであれば、カフェインによる健康への危険な悪影響はないとしています。」と書かれ、続けて、妊婦、授乳婦、妊娠予定の方や服薬している方はカフェインの影響を受けやすくなる場合があるため、かかりつけ医に相談することが推奨されていると添えられています。また、欧州食品安全機関(EFSA)の2015年の評価として、「妊婦及び授乳婦については、習慣的なカフェイン摂取に関し、1日当たり200 mgまでであれば、胎児や乳児の健康リスクは増加しないと評価しています。」とも紹介されています(農林水産省)。
注意点として、これらはカフェイン全体の摂取量の目安であり、コーヒーだけでなくほかの飲み物や食品からの摂取も含めて考えるものです。また、デカフェを飲めば安心、体に良い、といった意味ではありません。数値は機関名と対象者とセットで読み、自分に当てはめるときは慎重に判断しましょう。
デカフェ豆を選ぶ・淹れるときはどこを見る?
パッケージは「除去率」「製法」「焙煎度」の順に見る
デカフェを選ぶときは、パッケージの情報を「除去率」「製法」「焙煎度」の順に見ていくと迷いにくくなります。カフェインの量、香りの傾向、味の方向性を、それぞれ順番に確かめていくイメージです。
除去率については、全日本コーヒー協会が紹介するとおり、デカフェはカフェインを90%以上除去したものが目安です(全日本コーヒー協会)。製法については、水抽出法は香りや味成分も抜けがち、超臨界二酸化炭素抽出法はカフェインだけを狙って取り除く方法、と協会が説明しています(全日本コーヒー協会)。
やりがちな失敗が、「カフェインレス」の文字だけを見て、除去率の数字を確かめずに買ってしまうことです。原因は、デカフェはどれも同じだと思い込んでいること。全日本コーヒー協会のQ&Aでも、カフェインを97%以上除去したカフェインレスのコーヒー豆やインスタントコーヒーが市販されていると紹介されています。カフェインをどれだけ控えたいかがはっきりしている方ほど、ここで差が出ます。
対策として、買う前に除去率の数字が書かれているかを確認し、書かれていなければ販売元の説明を見るようにしましょう。製法と焙煎度は、そのあとで好みに合わせて選べば十分です。
シーン別:こんな人はこう選ぶ
デカフェの選び方は、どんな場面で飲みたいかによって変わります。自分の飲み方に当てはめて考えると、選ぶ基準がはっきりします。
全日本コーヒー協会のコラムでは、デカフェが就寝前でも飲みやすいこと、利尿作用が心配な方や妊娠中・授乳中の方など、カフェインの摂取量を減らしたい方の選択肢になることが紹介されています(全日本コーヒー協会)。こうした場面ごとに、選ぶときの重点を変えてみましょう。
夜にコーヒーの時間を楽しみたい方は、除去率の数字がはっきり書かれた商品を選ぶと、量の見当がつけやすくなります。香りや味を重視したい方は、製法の表示に目を向け、カフェインだけを狙って取り除くとされる超臨界二酸化炭素抽出法のものを試してみるのもひとつの方法です。手軽さを重視する方や、職場でも飲みたい方は、インスタントのデカフェという選択肢もあります。
家族でコーヒーの時間を共有したいときは、普通のコーヒーとデカフェを両方用意しておくのも方法です。妊娠中・授乳中の方のカフェインについては、先に紹介した機関名と対象者つきの目安を参考にしつつ、自分だけで判断しないようにしましょう。
淹れ方は普通のコーヒーと同じ考え方でよい
デカフェの淹れ方は、基本的には普通のコーヒーと同じ考え方で問題ありません。カフェインを取り除いた生豆も、焙煎されて焙煎豆や粉になっているので、淹れ方の理屈は共通です。
全日本コーヒー協会の説明にあるとおり、デカフェはカフェインを取り除いた生豆を焙煎したものです(全日本コーヒー協会)。焙煎された後の豆は、挽き目や湯温、豆と湯の比率によって味が変わる点で、普通のコーヒーと変わりません。豆の量や湯温の具体的な目安は、お使いのドリッパーなど器具メーカーの抽出ガイドを参考にしてください。
やりがちなのが、「デカフェは香りが弱いと聞いたから」と、最初から粉を多めにして濃く淹れようとすることです。いきなり条件を大きく変えると、苦味や雑味が出やすくなり、デカフェそのものの味の評価ができなくなってしまいます。
コツは、まず普段の淹れ方のままデカフェを淹れて、味を確かめてから少しずつ調整することです。ハンドドリップの基本の考え方は、こちらの記事でまとめています。

デカフェの選択肢は広がっている
デカフェは、以前に比べて手に取りやすい存在になってきています。協会のコラムでも、国内の輸入量が増えていることが紹介されています。
全日本コーヒー協会のコラムには、「近年、国内におけるデカフェコーヒーの輸入量は増加傾向にあります。」と書かれています(全日本コーヒー協会)。同じコラムでは、コーヒーは好きだけれどカフェインの摂取量は減らしたいという方の選択肢になること、ライフスタイルの変化も背景にあることが紹介されています。
やりがちなのが、「デカフェは種類が少ないから、選ぶ楽しみがない」と思い込んでしまうことです。輸入量が増えているということは、手に取れる選択肢も広がっていると考えられます。製法や焙煎度、形状の違う商品を見比べてみると、自分に合うものが見つかる可能性があります。
同じコラムのグラフ「デカフェコーヒーの輸入推移」では、2000年に595トンだった輸入量が、2025年には5,633トンになっています(2022年4,156トン→2024年3,456トンと減った年もあります)。グラフの元になった統計の名前はコラムに書かれていないので、詳しい数字を使うときは全日本コーヒー協会の統計資料で年版を確かめましょう。
まとめ
デカフェの作り方を知ると、売り場の「カフェインレス」の表示が、ぐっと読みやすくなります。最初の一歩として、次にコーヒー豆を買うときは、パッケージの除去率の数字と製法の記載を探してみてください。普段飲んでいるものと近い焙煎度のデカフェを選び、いつもと同じ淹れ方で味を確かめることから始めると、デカフェにしたことによる違いを自分の舌で感じ取りやすくなります。
※製法や表示の内容は商品によって異なります。最新情報は各販売元・公式サイトでご確認ください。

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